Voyage sentimental

物欲の残滓

MacBook Proを買ってしまった

ツーショット

表題の通り、MacBook Pro 13インチを買ってしまった。新品なので当然2017年モデル。escキーが物理キーじゃないと嫌なのでTouch Barが付いていないモデルを選択。それでもメモリを増やしてSSDの容量も上げてAppleCareに加入したら200kを超える価格に上がってしまった。だからどうしたって?世間のブルジョワジーな方々には端金かもしれないが、IT業界底辺をさまようプロレタリアートたる私にはかなりの金額なのだ。故にかなり後悔している。しかし最大の問題は金額ではなく、200kもするようなPCを喫緊で必要とするほど困ってもいないことである。それでも舌を噛み切る思いで買ってしまった。何故だ?(自問自答)

何故買ってしまったのか。理由は至極簡単で、今まで使っていたMacBook Airが壊れてしまったからだ。スリープから復帰の挙動が怪しい、設定がごちゃごちゃしている等の理由でクリーンインストールをしたっきり、彼?が再び目覚めることはなかった。とりあえず修理に持ち込んだところ、SSD+αが故障の原因のようで修理代60kが提示された。流石にこの値段を払うくらいなら新しいものが欲しくなってくる。モデルもMid 2013なので再来年以降には部品の供給もなくなる。それなら新しいモバイルPCを検討した方がいいということで、壊れたMacBook Air君はこれにてお役御免。今までありがとう。さて新しいモバイルPCを検討しよう…とするが、あいにく最近はモバイルPCを必要とする場面がめっきりなくなってしまっている。最悪GPD Pocketもあるあれはオモチャだ。正直なところすぐに買い直す必要性は無い。それでも新しいMacBook Proを買ってしまった。何故だ?(自問自答)

何故買ってしまったのか。理由は極めてふわっとしたもので、この度お役御免となったMacBook Airにそれなりの思い入れがあるからである。とある事情で大学を休学し、ライターまがいのアルバイトを始めたのがMacBook Airを購入したきっかけだ。会社で使えるモバイルPCがどうにも使い勝手が悪く、それなら自分で買ってしまおうということで長年の憧れだったMacBook Airを購入した次第である。以降、色々な展示会や発表会、セミナーのメモ取りに活躍してれた。また当時は休学に伴い大学の下宿先から急遽実家に帰ったため自室がなく、居間にしか居場所が無かったので公私共にこの携帯性の良いMacBook Airをメインに使用していた。

この頃は精神的にどん底ベロンチョの状態で、どうやって人間社会に復帰していくのか露頭に迷っていた時期となる。結局は上記のアルバイトをきっかけに社会復帰から現在の職場にまで至るのだが、まぁ要するに今までの人生で一番辛い時期に苦楽を共にしたのがこのMacBook Airなのである。思えば就活でもこいつを使っていた。リクルートスーツを着てサンマルクで履歴書やエントリーシートを書きながら、WindowsMacのOfficeの互換にキレていた覚えがある。別にこのMacBook Airを使ってバイト先で何十万PVもある記事を書いた訳ではないし、アフィリエイトで稼いだという訳でもない。それでも思い入れというのはそういうものである。

無事に新卒…新卒?として就職でき、自由に使える自室が与えられてからは次第にMacBook Airの出番も減っていった。ライターまがいのことをしていた時は頻繁に出先でPCを使う必要があったが、今は内勤のエンジニア。更に自室ができてからは据え置きのWindowsPCを主に使っている。せいぜい月に一度、外部の勉強会に参加した際のメモ取り程度にしか使わなくなっていた。そしてだんだん不調が続くようになり、ついに起動しなくなってしまった。この通りの使用頻度であったから別に無くなっても困らない。それでも修理代60kを提示され、このMacBook Airに見切りをつけた際に、購入した当時の記憶を思い出してしまったのである。人生八方塞がりに見え、それでもなんとか新しいことを始めてみた時、自らを発奮させる意味も込めてMacBook Airを手にした当時の記憶を。

まぁとどのつまり小さな感傷によって惜しくなってしまっただけである。しかしアナログ品ならメンテナンスをこまめに行うことで長く使うこともできるが、如何せんPCはそうはいかない。ムーアの法則には逆らえないので、新しいものに買い換えざるをえない。どうせなら同じモデルが欲しかったがAirのラインナップは収束に向かっている。そこで代わりに選ばれたのが今回購入したMacBook Pro 13インチだ。現代人はブラウザで沢山のタブを開くからメモリ16GBを選択できないMacBook君は選外。

以上、自らを納得させるためつらつらと書き綴ってきたが、本当のところは物欲に逆らえなかっただけだ。しかしせっかくそれなりのスペックのものを買うのだから、少しでも活用しないとあの世でMacBook Airに合わせる顔がない。