Voyage sentimental

物欲の残滓

スイフトスポーツ(ZC33S)買いました

中古のミニクーパーから新車のスイフトスポーツに乗り換えを決め、無事に納車された。下記はこの車の購入に至った経緯のメモである。

買い替えた経緯

さよならミニクーパー

買い替えた理由は今まで乗っていたミニクーパー(R56)の面倒を自分では見きれなくなったから。このミニは2年前に自分の車が欲しいという突発的な衝動が湧いた際に8万キロオーバーで高年式のものを割安な価格で購入した。それまであまり車のメーカーや車種に興味はなく、免許を取得した10年以上前から唯一乗ってみたいと認知していたのがミニだったので、せっかくだからと安易に考えた結果である。

しかし外車、高年式、中古車という懸念しかない条件で当時はこれも勉強になるだろう程度にしか考えていなかったが、この浅慮を2年かけて後悔することになる。まず北海道ドライブへ行くため大洗のフェリー乗り場を目指し圏央道に入った直後にタイヤがパンク(新品への交換直後)したのを皮切りに、冷房が効かない、エンジンオイルが微妙に漏れている、タイヤの荷重バランスがおかしい等のトラブルに遭遇。今夏の北陸旅行の帰路ではついにエンジン警告灯が点灯し、いつ動かなくなるか恐怖に怯えながら400キロの道のりを運転したのが手放す決め手となった。

エンジンからマフラーまでの管の中が経年劣化でかなり汚れていたのが警告灯の原因で、O2センサーを交換すればとりあえず警告は消せるらしい。しかし根本改善するにはエンジンをばらしてクリーニングする必要があるとのこと。費用は20万いかないくらい。今年は車検も控えており、諸々を合わせて修理するとなるとかなりの額になるのは間違いなく、この時点でミニクーパーを維持することを諦めた。上記の北海道ドライブを諦めた直後に突発的に四国へ向かったのを始め、あちこち旅行やキャンプ、登山に行って楽しかったよ。ありがとう。手放す際の査定でリペット跡から推察すると事故車だったことも判明した。ありがとう。

懐に余裕のある人や車に詳しい人ならそれくらい、と思われるかもしれない。しかしこの2年間ミニクーパーに乗り続けたことで己の車に対するスタンスがよくよく理解できた。 まず自分が車に対して求めているのは当たり前だが安心感ということだ。警告灯が点いて怯えながら運転したこともそうだが、様々な故障の疑念を抱いたまま車を所有するのは自分にとって酷く落ちかない。動いているからいいやで済ませられないようだ。 また自分であれこれ車をいじって楽しむのも向いていないことを痛感した。金銭的な負担もあるが、車のメカニズム等の知識を覚えようとするほど熱意は持てず、更に自力でコンパウンドで磨いたり、配線をいじってパーツをつけるほどの器用さと気力を持ち合わせていないことも判明。割安な中古の外車を数年おきに乗り換えて塗装や内装をいじっている友人がいるが、そうしたスタイルは自分には無理らしい。

ただ一方で自分で車を所有し、気兼ねなく運転して出かける楽しさは深まった。車というパーソナルスペースを持ったまま好き勝手に移動できる自由さがたまらなく好きで、3、4日間ふらっと出かける遠出のドライブは本当に楽しい。ということでミニは手放すものの新しい車を買うことは規定路線だった。

ミニの反省を活かし、次は可能な限り新車にする方針に。整備に関してもディーラーに全て放り投げるほうが性に合っている。自分がブルジョワだったら迷いなくミニのジョンクーパーワークスを買いたいところだが、現実は悲しきプロレタリアート。また外車だと旅先でトラブルが発生しても手近なガソリンスタンドで扱ってくれない場面に出くわしたことがあり、更にディーラー任せにすると維持費が怖いことになるため国内メーカーに絞って候補を探し始めた。

候補探し

無限大の選択肢からどうやって候補を絞り込んでいくか。まず車体サイズだが、己の空間認識能力の低さはよく自覚しており、デカイ車を扱える自信がないのでコンパクトカーサイズが望ましい。あとAT限定です…。 また知人のミニクーパーSに乗せてもらったことがあるが、あの車体サイズに過剰すぎるエンジンを搭載したパワーあふれる走りは中々魅力的だったので可能であればターボ搭載の車が欲しい。そもそも登山やキャンプに行く都合上、山道もよく走るのでパワーがあるに越したことはない。

ということで条件は「小さくて良く走る車(AT)」。要はミニと条件が同じだ。

コンパクトカーだとヤリス、フィット、ノート、MAZDA2、スイフトのスポーツタイプが候補に挙げられ、小型SUVだとライズやヤリスクロス、CX-3ヴェゼル、クロスビーあたりが候補になるだろうか。趣向を変えればGRコペンやS660も入るだろう。しかし国内メーカー・コンパクトサイズ・パワーのあるエンジン・ATという条件で探すとおそらく誰もが1つの車に辿り着く…それがスイフトスポーツだ。

なんでスイスポ

記事名にもある通り数ある選択肢の中からスイフトスポーツを選んだ訳だが、最大の決め手となったのはコスパである。え?コスパで選んだの?と思われるだろうが、スイスポは走行性能と比して価格が競合よりも圧倒的に安い(187万円~)。

スイフトスポーツという車だが、ベース車となるスイフトの「スポーツタイプ」ではなくスズキの「スポーツカー」として開発・販売され、市場にもそのように評価されている車だ。現にサーキットで走らせている愛好家も多く、アフターパーツも多数販売されている。 その最大の特徴は1.4Lの直列4気筒ターボエンジンで、最大出力(PS)/最大トルク(Nm)は140/230と、1トンを下回る軽量な車体には過剰といえるスペックを誇っている。安易に数字だけ比較しても意味はないが、ヴェゼルが129/153、ヤリスクロスが120/145、CX-3が111/144なので他社のコンパクトSUVのガソリンモデルと比べても特に最大トルクの数字が大きいのが分かる。なおミニクーパーSは192/280である。えぇ。。

スイフトスポーツはエンジンの他にもブレーキやサスペンション、タイヤ等も専用開発されており、MTだけでなくATすら好事家の間で評価が高い。もちろん試乗しに行き、少しアクセルを踏み込むだけでトルク性能の良さが感じられ世間の評判にも得心した。走りに特化した反面、内装の安っぽさもよく指摘されるが、ミニを除けば家のフィット程度しか乗ったことがないのでそこは重点項目にはならない。 ATで全方位モニターやアダプティブクルーズコントロールといったモダンな安全装備を搭載しても214万円~。同じ価格帯でスイスポと比較できる走行性能の車が探すが…ある??なくね???お買い得!!!!相見積もりが出せねぇ!!!!! ということでついに購入に至った。カラーはもちろんチャンピオンイエロー。車種専用のカラーに弱い。

こんにちはスイフトスポーツ

余談

プロレタリアートにとって死ぬほど大きな金額の買い物になっただけに色々物色するのは楽しかった。自動車選びはその人のパーソナリティが垣間見れて面白い。はたして軽のトールワゴンを選べと言われたら、という思考実験を楽しめるようになる程度には自動車市場に興味が持てた3ヶ月間でした。